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なぜ冬の北海道でカビが増える?プロが教える「カビの正体」と「科学的メカニズム」徹底解説

こんにちは! 株式会社Beクリーン、代表の加藤です。

北海道は厳寒期を迎え、外は一面の銀世界ですね。 しかし、そんな美しい景色の裏で、私たちのもとには毎日のように「ある悩み」が寄せられます。

「冬なのに、部屋がかび臭い」 「窓のサッシだけでなく、壁紙まで黒ずんできた」

本来、カビは高温多湿な梅雨の時期に多いイメージですが、ここ北海道においては「冬こそがカビが増加しやすい季節」なんです。

今回のコラムは、少し長くなります。 しかし、カビ対策を行うためには、カビの生態を理解する必要があります。 ネットでよく見る表面的な情報ではなく、「清掃は化学だ」を掲げる僕たちだからこそ語れる、カビの生物学的特徴と発生メカニズムを徹底解説します。


第1章:カビの生物学

1. カビは「植物」でも「細菌」でもない

カビは、専門用語で「真菌(しんきん)」というグループに属する微生物です。 細菌(バクテリア)とは全く別の生き物で、どちらかと言えばキノコや酵母(イースト)の親戚です。

細菌が単純な分裂で増えるのに対し、真菌(カビ)は複雑なサイクルを持っています。ここを理解していないと、掃除の効果が出ません。

【知っておきたい】北海道の家を狙う「5大カビ」

カビと一言で言っても、実は数万種類以上存在します。 その中でも、北海道の高気密住宅や結露しやすい環境で特によく見かける「カビ」たちがいます。

1. クラドスポリウム(通称:黒カビ)

  • 見た目: 黒色〜濃い緑色。
  • 出没場所: 窓のサッシ(パッキン)、結露した壁紙、お風呂場の目地など。
  • 特徴: 日本の住宅で最も多く検出されるカビです。乾燥や低温にも比較的強く、結露水を栄養にして爆発的に増えます。「壁が黒ずんできた」という相談の9割はこのカビが原因です。喘息などのアレルギー原因物質(アレルゲン)の代表格でもあります。

2. ペニシリウム(通称:青カビ)

  • 見た目: 青緑色、粉っぽい質感。
  • 出没場所: 家具の裏側、畳、押入れの中、パンや餅など。
  • 特徴: 食べ物に生えるイメージが強いですが、実は家具や畳も好物です。成長スピードが非常に速いのが特徴。「カビ臭い!」と感じる時、この青カビが大量発生していることがよくあります。抗生物質のペニシリンの原料としても有名ですが、家の中にいては困りものです。

3. アスペルギルス(コウジカビの仲間)

  • 見た目: 種類によって白、黒、黄色、緑など様々。
  • 出没場所: ホコリの中、エアコンの内部、カーペットなど。
  • 特徴: 「コウジカビ」としてお酒や醤油作りにも使われる益菌の仲間ですが、家の中にいるタイプは別物です。乾燥に比較的強く、空気中のホコリに混じって浮遊しています。吸い込むと「気管支肺アスペルギルス症」という深刻な感染症を引き起こすリスクがあります。

4. アルテルナリア(通称:ススカビ)

  • 見た目: 黒色、少し毛羽立ったような質感。
  • 出没場所: 浴室、脱衣所、北側の結露のひどい壁など。
  • 特徴: その名の通り「煤(スス)」のように見えます。湿気の多い場所が大好きで、プラスチック製品やお風呂の椅子などにも深く根を張ります。黒カビ(クラドスポリウム)と混ざって発生することが多く、アレルギー症状を引き起こしやすい厄介者です。

5. スタキボトリス(有毒なクロカビ)

  • 見た目: 漆黒(真っ黒)、ベタベタした粘着質。
  • 出没場所: 水漏れした壁、結露で長期間濡れ続けた石膏ボードや壁紙の裏
  • 特徴: これは要注意です。セルロース(紙や木)が大好物で、非常に強い毒素(マイコトキシン)を出します。海外では「Toxic Mold(猛毒カビ)」として恐れられ、健康被害が訴訟になるレベルです。もし壁紙を剥がして、裏にこの「ベタベタした真っ黒なカビ」がいたら、自分で触らずにすぐにプロを呼んでください。
補足

クラドスポリウムとスタキボトリスはどちらも「クロカビ」と呼ばれるんですが、全くの別物になります。

日本で一般的に「黒カビ」と呼ばれるのは、9割以上が「クラドスポリウム」の方です。 一方、「スタキボトリス」は、アメリカなどで「Toxic Black Mold(猛毒の黒カビ)」として恐れられている別物です。

特徴クラドスポリウム(一般的な黒カビ)スタキボトリス(猛毒黒カビ)
主な呼び名黒カビ猛毒黒カビ、水害カビ
発生頻度非常に多い(どこの家にもいる)レア(特定の条件で発生)
好む水分湿気や結露が好き(湿度が高い場所)水浸しが好き(濡れ続けた場所)
好むエサプラスチック、パッキン、塗装面紙、木材、ダンボール(セルロース)
毒性アレルギーの原因になる(喘息など)マイコトキシン(強い毒)を出す
見分け方乾燥すると粉っぽく舞う湿っている時はベタベタして舞いにくい

2. 「氷山の一角」理論

カビの身体は、大きく2つのパーツで構成されています。

  • 胞子(ほうし): 植物でいう「種」です。大きさはわずか2〜10ミクロン(1ミリの1/1000程度)。肉眼では見えません。空気中をフワフワと漂い、着地できる場所を探しています。
  • 菌糸(きんし): 植物でいう「根」や「茎」です。胞子が着地し、条件が整うと発芽して、この菌糸を素材(壁紙や木材)の奥深くまで伸ばしていきます。

僕たちが肉眼で「あ、黒いカビだ!」と認識した時、それは数億個の胞子が密集している状態(コロニー)です。 恐ろしいのは、目に見えている黒い部分はあくまで「氷山の一角」に過ぎないということ。その下には、目に見えない菌糸が、まるで樹木の根のように広く深く張り巡らされています。

表面を雑巾で拭いたり、漂白剤で白くしたりしてもすぐに再発するのは、この「地中の根(菌糸)」が生き残っているからなのです。雑草で置き換えると分かりやすく、草を刈っても根っこがあるのですぐに草は伸びてきます。草をむしって根っこまで抜き取れば草が生えてくるサイクルを遅らせることが可能です。


第2章:カビが喜ぶ「魔のトライアングル」

カビが発芽し、爆発的に増殖するには、以下の3つの条件が揃う必要があります。これを「カビ生育の3要素」と呼んでいます。

① 温度(20℃〜30℃)

カビは人間が「快適だ」と感じる温度が大好きです。 0℃以下では活動が止まりますが、死滅はしません(冷凍庫の中でもカビは眠っているだけです)。逆に30℃を超えると活動が鈍ります。 つまり、暖房の効いた北海道のリビング(23℃前後)は、カビにとって最高の楽園なのです。

② 栄養分(有機物すべて)

カビは偏食ではありません。何でも食べます。

  • 食べかす、ホコリ
  • 人間の皮脂、髪の毛
  • 石鹸カス
  • 建材そのもの(壁紙の糊、塗料、木材、畳、プラスチックなど)

特に高気密住宅で換気が不足すると、空気中のホコリが滞留し、それがカビの餌となってしまいます。

③ 水分(湿度と自由水)

これが最も重要な要素です。 一般的に「湿度70%以上」で繁殖が始まると言われますが、もう少し専門的に言うと「水分活性(Aw)」という数値が関わってきます。 単に空気中の湿度が高いだけでなく、壁や窓についた結露水など、カビが自由に使える水(自由水)が存在するかどうかが鍵となります。

ほかにも「酸素」という要因が必要なので、4大要素と呼ばれることも多いです。僕たちが普段施工するのは住宅やビルなどの建築物ですので「酸素」があって当たり前なため「3大要素」と記載しました。


第3章:なぜ北海道の住宅がカビやすいのか?

「北海道には梅雨がないからカビない」というのは、昭和の木造住宅時代の話です。 現代の北海道、特にここ10年くらいで新築した住宅事情は、カビにとって非常に好都合な条件が揃ってしまっています。

1. 「高気密・高断熱」の副作用

北海道の家は、寒さを防ぐために魔法瓶のように密閉されています。 これは暖房効率においては素晴らしいことですが、一度発生した「湿気」と「汚れた空気」が外に逃げないというデメリットも生みます。 計画的な換気(24時間換気システム)が正しく稼働していないと、湿気は家の弱い部分(断熱の切れ目など)に集中攻撃を仕掛けます。

24時間換気を正しく稼働させていても換気口や給気口の清掃不足などで本来の換気量が確保されていない場合も注意が必要です。

2. 恐怖の「40℃」温度差

旭川の冬は、外気温がマイナス20℃、室温がプラス20℃になることも珍しくありません。その差は40℃。 この強烈な温度差は、窓ガラスだけでなく、壁の内部(壁内結露)にも水分を生じさせます。 一見乾いているように見える壁紙の裏側で、じっとりと結露が発生し、そこでカビが静かに増殖している…これが「隠れカビ」の正体です。

3. 冬のライフスタイル

  • 室内干し: 冬は外に洗濯物が干せないため、室内干しが基本になります。これにより室内の湿度が急上昇します。
  • 加湿器: インフルエンザ対策などで加湿器をフル稼働させると、サッシ周りの水分活性値が危険域に達します。

第4章:放置してはいけない!健康へのリスク

「見た目が汚いだけでしょう?」と甘く見てはいけません。 カビは、そこに住む人の健康を確実に蝕んでいきます。

1. アレルギー疾患

カビの胞子は非常に軽いため、空中に舞い上がります。これを吸い込み続けることで、気管支喘息アレルギー性鼻炎を引き起こします。特に小さなお子様や高齢者がいるご家庭では注意が必要です。グループホームや介護施設など免疫力が高くはない不特定多数の人々が集団生活を送る施設などでもカビのリスクは軽視できません。

2. 過敏性肺炎(夏型過敏性肺炎など)

カビの胞子を繰り返し吸い込むことで、肺がアレルギー反応を起こす病気です。風邪と症状が似ていますが、家を離れると症状が治まるのが特徴です。

3. MVOC(微生物由来揮発性有機化合物)

「カビ臭い」と感じるあのニオイの正体です。 カビが新陳代謝をする際に放出するガス(揮発性有機化合物)で、シックハウス症候群の原因物質の一つでもあります。 このニオイがするということは、目に見えなくても「どこかでカビが活動している」という確実な証拠です。

家にいると気が付かないけど外出すると自分の衣類や持ち物がカビ臭い。とか「あの人いつもカビ臭いんだよね」など外出してもカビのにおいがついて回る場合は家の中がカビで汚染されている証拠になります。

補足

【プロの科学解説】「カビ臭さ」の正体=MVOCとは?

「カビの姿は見えないのに、部屋に入ると独特のニオイがする…」 その正体は、MVOCと呼ばれる化学物質です。

わかりやすく言うと、カビが生きている証拠として吐き出す「ガス」のこと。

普段気にしている「カビ(黒いシミ)」は、カビの本体や胞子という「粒」です。 しかし、ニオイの元であるMVOCは「ガス(気体)」です。

なぜこれが厄介なのか? 粒であるカビ菌は、壁の表面に留まります。 しかし、ガスであるMVOCは、壁紙を通り抜け、断熱材に染み込み、部屋中のカーテンやソファに吸着します。

「壁のカビを掃除して見た目はキレイになったのに、まだ臭う」 という現象は、壁の建材や家具の奥深くに、このMVOCというガス成分が染み込んで残ってしまっているからなのです。

ここまでいくと、単なるお掃除では取れません。 「オゾン燻蒸」などの化学的な脱臭アプローチが必要になる理由は、この目に見えないガス(MVOC)を分解するためなのです。

  • カビ臭の原因: 特有の臭気を持ち、「カビ臭い」と感じる原因物質です。
  • 健康への影響: 室内環境で高濃度になると、シックハウス症候群の症状(皮膚炎、アレルギーなど)との関連が研究されています。
  • 汚染の指標: 視覚的にカビが見えなくても、MVOCを測定することでカビや微生物の存在、湿気による汚染を検知できることがあります。
  • 種類: 2-メチル-1-プロパノール(2-Methyl-1-propanol)や二硫化ジメチル(Dimethyl disulfide)など、数百種類が確認されています。
  • 発生源: 微生物が活発に増殖する際に放出され、腐朽菌など菌種によって放出するMVOCの種類や量が異なります。 

第5章:プロのアプローチ(清掃は化学だ)

Beクリーンが提供するカビ対策は、市販のカビ取り剤でお掃除するだけのサービスではありません。 「化学」と「建築」の知識を組み合わせて解決します。

  1. 検査・数値化: 含水率計、水分活性測定や臭気測定器を使い、目に見えないカビの発生源を特定します。「なんとなく」では対策しません。
  2. 根からの除去: 素材を傷めずに、菌糸(根)の奥まで浸透する特殊な薬剤を使用し、カビを化学的に分解・死滅させます。
  3. 防カビ・環境改善: キレイにするのは当たり前。その後、「なぜそこで結露したのか?」「どうすれば再発しないか?」という住環境のアドバイスまで行います。
  4. 作業前後の空気中のカビ菌数測定:施工する前と後で空気中に存在するカビの菌数がどれだけ変化したかを数値で見える化します。

まとめ:カビに悩む冬を終わらせましょう

カビは自然界に必要な分解者ですが、家の中にいて良いことは一つもありません。

  • 掃除をしてもすぐカビが生える
  • 原因不明の咳が続く
  • 部屋に入ると独特のニオイがする

これらはすべて、家からのSOSサインです。 北海道の厳しい冬を知り尽くした私たちBeクリーンが、皆さまの健康と住まいを守るお手伝いをいたします。

「ブログを読んだ」とお伝えいただければスムーズです。 まずは一度、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

Beクリーンの専務です。1981年4月4日生まれ。
建築物環境衛生管理技術者、OCT、病院清掃受託責任者、清掃作業監督者、清掃作業従事者研修指導者、貯水槽水道衛生管理士、専門資格多数保有。
一般社団法人日本除菌脱臭サービス協会、講習会講師。

ボソボソ小さい声でゆっくり喋るので、僕が話しても8割くらい相手には伝わっていません。セールストークは苦手です。

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